私は11月5日から7日まで、福島県いわき市から元小学校教頭の二人の友人とレンタカーに乗って、除染した後の放射性廃棄物を大量に埋設している楢葉(原発から15キロ圏内)や原発から12キロ圏内の富岡町の商店街へやってきました。いわき市では、私は、3.11以来、被災者を対象として、これまでに4回の絵地図ワークショップ(精神的なケアー)を開催してきていますが、被災地をまだきちんと調査したことはありませんでした。

そのため今回は、富岡町楢葉町など放射線量が非常に高い地域を訪れてみました。富岡町の多くの商店街は震のときのまま壊れていて、誰一人姿を見かけません。原発メルトダウンとともに全員があわてて逃げ出したままとなっています。街はこのまま朽ちていくのでしょうか。通りを猪が歩いていました。

1時間たっても道路には車もまったく通らず、完全な死の町となっていました。県立富岡高校へも行きました。紅葉は余りにも美しく、信号だけが点滅していました。また楢葉の広大な田園地帯が放射性汚染土の山となっていました。人間社会にとって進歩とはなにか考え込んでしまいました。

福島県双葉郡富岡町の商店街の風景は、人も車も一切見かけませんー道路を猪が一匹歩いていました。県立富岡高校前や富岡駅などの道路上で図った放射線量は、2.5ミリシーベルト、草むらで4ミリシーベルト。人が住めない高線量です。因みに2010年の富岡町の人口は1万6千人でした。

2013年11月7日、福島県の楢葉(ならは)で、国が実施している除染によって生じた土、枝、刈り取った草などの膨大な除染廃棄物の集積作業を見てきました。除染は果たして役にたつのか、たたないのかよく知りませんが、膨大な量の放射性廃棄物が、今日も風光明媚な景色を見渡す限り埋め尽くしていきます。何兆円もかけてこの作業いつまで続くのでしょうか?日本の未来とは、こうした黒ビニールによる除染廃棄物袋を無限に次世代に作り出していくことに他なりません。

山と海に囲まれた最も美しい場所ー楢葉が放射性廃棄物に埋め尽くされているのを見るとても悲しみと怒りを痛切に感じた訪問となりました。