現代の寓話「コンキチ」が伝えたい人間の実態的存在

2004年4月24日に、目黒パーシモンホールで開催されたICLC主催「語りの会」とICLCのお話の感想です。(約180名参加)

The Lonely Fox KONKICHI 「コンキチ」.
これは原作田島伸二で、林洋子の語りと劉宏軍の音楽で、2004年に4回上演され大きな感動を巻き起こしました。「狐のコンキチは、山が壊されていくので、コンキチは、とうとう狐をやめて、人間になることを決意 します。会社員になったコンキチは、ゴルフのクラブを握って喜んだり思う存分人間生活を楽しんでいましたが、彼の会社とはな んと毛皮会社。そのためコンキチは、ある日、社長命令を受けて、鉄砲をもって毛皮を獲りに故郷の山へ向かいます・・・・・・・・ 」 コンキチの物語は、アジア地域では28言語に翻訳出版されています。


ーこのような感動的な物語が日本に存在しているのを初めて知りました。深くておもしろい物語ですね。語りになるとまるで本物の世界が広がっているのを感じます。語りのもつ圧倒的な力に驚きました。でこの物語、早く読みたいです。林さんは、一字一句書かれた物語を全部、暗記されているのですね。1時間も語ることができるなんて、すごい!また聞きたいです。

― 昨日の林洋子さんのコンキチの語りの公演、素晴らしかったです!渾身の熱演でした。また感動させて頂きました。私もコンキチと一緒に泣いたり笑ったりため息をついたり。息子もそれなりにすごい。花束贈呈も初体験させて頂き、舞い上がっていました。年齢が上がったせいか、笛やお話にも飽きた様子もなく、じっと聞いていられるようになったようで、こちらとしてはほっとしています。ほんとに楽しいひとときでした。ありがとうございます。


今回の珍しい笛(しかも初めて見るものばかり!)の演奏と識字のお話と語りの3部構成がとても良かったです。お話も長すぎず、難しすぎず、世界の現状について子どもたちにも認識し、また考えてもらえるきっかけになるには素晴らしい形態だったように思います。このような形でしたら、中高生などの若者にももっとたくさん聞いてほしいと思いました。是非またこういったコラボレーション形式でたくさんのイベントをして頂けることを期待します。ではまたお目に掛かれますことを楽しみにしております。           
                                             
− 田島さんの長年の活動と経験から得た思いのつまったすばらしい寓話が、劉さんの音楽(アジアの心、文化そのもの)に彩られ、感動的な作品になったと思います。もっとたくさんの人々に知られてほしいと思います。
     − 大人の心にも子どもの心にも響くすばらしい語り。Liuさんとのコラボレーションも見事でした。ありがとうございました。 

− ICLCさんのエッセンスがギュッとつめこまれたコラボレーション&お話だったと思います。生きる力を“識字教育”が与えてくれる。家族でも考えてゆきたいと思いました。来週(30日)に出産予定なので、おなかの子と一緒に笛と語りを聞けてよかったです。ありがとうございました。  
             
− 笛の音もきれいで、その時のじょうきょうがよくわかった。聞きやすかった。イギリスではきつねをだいじにしている所があるのでぜんぜんちがうと思った。                  

− 田島さんのお話に感動しました。もっとお話をお聞きしたかった。このお話のご著書はないのですか?笛は大草原を思い浮かべました。よい会にお誘いいただき、ありがとうございました。会員になります。  
 
― 23日に「コンキチ」に行ってきました。行ってよかったです。田島さんのお話の中で、識字教育の現場で、「紙が欲しい」といわれて、寄付するのではなく、紙のつくり方を教えた、とおっしゃっていたのは、とても刺激的でした。が、なにより「コンキチ」、です。子ども向けのユーモラスなお話を勝手に想像していたのですが、とてもシリアスな内容だったんですね。そして最初は現代文明批評がこめられている作品なのかなと思って聴きはじめたのですが、進むにつれて、そんな図式的なことではなくて、人間がもっている普遍的な問題、痛みに真っ正面からズンズン切り込んでいく運びに、息を呑んでしまいました。;コンキチは「あなたの街」にいるだけではなく、多くの人の中に、そして自分の中にも、いるのだという気がしました。田島さんの視点には、それでいながら、そんな人間に対するやさしさを感じます。それを語り出す演者にも、とても力があって、朗読ではなく、語りもののスタイルであるところも興味深かったです。

― 凄いですね〜!!お話の内容も素晴らしく、心から感動出来ました。笛の音も素晴らしかった。

― 浅井さん、先日の「コンキチ」のボランティアにおきましては、何から何までご指導を賜り、またご迷惑をお掛けしましたが大変お世話になりありがとうございました。私は田島先生のご講演に感銘を受けると同時に、私のできる国際貢献について更に考える機会を頂けたと思います。本当に貴重な体験をありがとうございました。今後とも、ICLCの活動にできるだけ参加させて頂きたく思います。いつでもご連絡ください。ICLCの方々にどうぞよろしくお伝えください。

― 場慣れしていないこともあってうまく仕事がこなせなくてすみませんでした。ほんのすこしでしたがお手伝いさせて頂けて光栄です。コンキチすごくよかったです。ストーリーもすごく面白くて、いろいろ考えさせられました。語りにすぐにひき込まれ、コンキチの悲しそうな鳴き声に涙が溢れそうになりました。音楽も語りとよく合っていて、情景が目に浮かぶようでした。お手伝いにいったというより、コンキチを楽しませていただいてしまって 申し訳ないです。ありがとうございました。 また機会があれば声をかけてください。 お疲れ様でした。

4月24日/雑記(真心の温度)

「こんにちは。先日のタクシード……」
「あっ、どうもありがとうございます」すっと差し出された右手には、誠実なぬくもりがあった。昨日の夜は、先日車内で知り合った方が主催する朗読劇へ出かけた。劉宏軍さんの笛の独奏や林洋子さんの迫真の語り、そして、田島伸二さん作のお話もよかった。 しかし、私がもっともこころを打たれたのは、田島さんによる「アジア・アフリカの子どもたち」と題された演説だった。アジア地域で識字教育に二十数年携わった田島さんの言葉は、うわべだけではない深い思いと繋がっていた。話している途中、長い沈黙が一度あった。言葉を探しあぐねているようには思われなかった。私が感傷に過ぎるのかもしれないが、田島さんは、これまでに自分がしてきたことを振り返って噛みしめているのだと感じた。現地の深刻な教育問題を改善しようとする田島さんの熱意が、しずかに伝わってきた。                 
催しが終ったあと、草の匂いのする公園を歩いた。真心にふれたあとは、夜の闇もあたたかい。きっと、光で内側が照らされているからだ。「どうしてあなたはそんなに美しいのですか」 今宵の月にたずねてみた。「私は自分の美しさを知らないからだ」と、月はいった。                   
 
2004年10月12日
− 法然院での笛と語りの講演、とても素敵なものになったようでうれしく思います!語りと笛の力は、大勢の方の心に届いたようですね。中に、学校の先生かしら、「私も語りたい」との感想書いた方いらっしゃいますよね。私も、人の語りを聞くたびに、「私も語りたい」と思います。何と表現していいか分かりませんが、体の中の(心の中の?)何かが反応するんです。そして、お話を語りたい欲求にかられます。田島さん、私は、コンキチの講演で初めてICLCを知りましたが、あのときの田島さんの話が、私の心にすごく響いたんです。そして、いまだに私の行動の原動力になっています。きっと今回も、そういう人たちが多くいるんじゃないでしょうか。        
留学先のロンドンから  伊東幸恵   




京都の法然院と広島の光明寺での笛と語りのさまざまな感想より
(2004年10月2日&3日)(約70名参加(京都)約150名(広島)

― 今回はこのコンキチの公演にくることができとてもよかったと思います。コンキチはサラリーマンになって、サラリーマンも大変なのだなあと思って話が終わるのかと思っていましたが、結末が思ったのと違い意外でした。もっと深いものがあったと思います。語りがとてもよかったと思います。全部おぼえてらっしゃるのもすごいですね。

― 国際識字文化センターの活動を初めて知りました。私は小学生の母ですが、日々地域での子どものこと(現在の日本の子どもの情況があまり良くなくて)について活動していますが、世界の子どもたちのことで、こんな活動があるのかということがわかりました。勉強になりました、田島さんの言われたように、出会いを大切にしたいなと思います。ありがとうございました。

― いちばん大切なものを失いながら、社会に適応していく現代サラリーマンの悲しさを  おもしろおかしく 手にとるように感じました。林洋子さん、おつかれさまでした。

― 笛、語りはもちろん、田島先生のお話にとても感動しました。コンキチのお話もとても面白く、人間が偉いという概念を少なからず自分も持っていることに気付かされました。良いお話をうかがえて、ありがとうございました。

― 言霊 私も語りたい。そう思いました。直接相手を見て・・・話すときの基本ですよね。私も小学校 講師の身。肝に念じます。田島さん、宏軍さん、林さん、朽名さん、浅井さん。それから今日これを聞くにあたって支えて下さった方に感謝し、今日ここに集まった人と共有できたことを嬉しく存じます。PS 広島に友人が居ます。職場にも・・・・じゃけえ。ちなみに私は和歌山県出身です。機会があったらぜひ私も連れて行って下さい。

― コンキチがなんかすごくかわいそうになりました。たぶんコンキチがお母さんギツネを鉄砲でうってしまったとき、人間になったことをすごくこうかいしたと思います。林洋子さんは、コンキチになりきったような表情でやっていたところがすごかったと思います。私はコンキチがしっぽだけキツネのままにしていたらキツネにもどれると思っていました。私が小さいころ林洋子さんの語りを聞いてすごくいんしょうにのこっているので林洋子さんが語る話はとても大好きです。またいろんな話を聞かせてくださいね。

― そもそも、田島さんの見事な寓話そのものに、シンプルで力強いメッセージが込められているのだから(寓話とはほんらい、そうしたパワーを秘めたものです)、語り部は、もっと淡々とあればよいのではないか。もちろん、あの熱のこもった表現に、心を動かされる人々が大勢いて、善し悪しというより、感性や好みに負うところも大きいのでしょうが、【現代の寓話】のエクリチュールと、その寓話というものを、どのように「声で」表現するか。これらは、たいへんICLCらしい、面白いテーマだと思いますでも、寓話というものの持ち味である、シンプルでストレートなメッセージと、林さんの表現は、対極にあるような気がします。

2004年10月3日 広島の光明寺で開催された”笛と語りの催しの感想 
(約150名参加)

― 長い間、自宅(東広島市)で、あすか文庫を開き、身近な子どもたちに保育所、幼稚園、小学校で絵本を読んできました。ユネスコユニセフの活動にも時々、友人たちに声をかけられた時に、自分のできる範囲でと思ってやりましたが、会員には迷いながらもなりませんでした。(あまりに身辺が多忙だったため名前だけになりそうでしたので)、田島伸二さんのお話を聞いて、ちょうど自分がタイムリーな時期にお会いできたと喜んでおります。会員として少しでも世界の子供たちの平安と未来のために何かしていきたいと思います。林洋子さんの語りもますます冴えてきて素晴らしいひと時を過すことができました。「コンキチ」の寓話の持つ豊かな魂の叫びの言葉に打たれました。創造とは人の心の中に火を灯すことー共感いたしました。

― 「コンキチ」について。
  絵本は見ていませんが、林さんの熱演と音楽効果で、彩り豊かにうかがい、色々考えさせられました。少なくとも我々が幼かった頃や母たちが育った頃は、田島さんが廻られた国々とそれ程の違いは無かったのではないでしょうか。戦中派の一番上の姉などは、石版を使ったことがあるそうです。それが今、私たちの暮らしを考えると、どちらを向いても色々な意味の毛皮屋さんの恩恵にあずかって快適な暮らしをしています。そして、もう後戻りができません。むなしく夜空に向かって鳴くしかないコンキチの気持ちがそんなところにあるのかなあと・・・。 

 ― 識字については、何年か前 同和研修で聞きましたが、ただ単に読み書きの普及としか理解していませんでした。それでも、義務教育の行き届いた日本において、識字率が思っていたより低いことに驚いたことでした。しかし、昨日のお話を聞いて、識字にはもっともっと広い意味があることに気がつきました。読み書きの力を付けるだけでなく、絵を使ったり、物語で語りかけたりして、心と文化とあらゆる知識を伝え、幸せになってもらうことが識字の意味ではないかと・・・。広い意味で、今 私が模索している仕事にも結びついています。自閉症の方に、どういうコミュニケーションを図るか という事を考えながら聞いていました。
                            
― 感銘深い語りを聞かせていただき誠にありがとうございました。現在の私たちの豊かな姿を写し出された様な気がしました。広島の豊かな資源に恵まれた土地でした。「大田川 千歳 清し」と高校の校歌を想起致しました。手軽に物を手にすることが出来たと思った頃、海の生物の減少と環境の悪化が身辺に迫っておりました。コンキチ自身が、私たちそのものに重ね合わされて痛みを感じた事です。

― 何をかくそう。実は私もコンキチなのです。今日、気がつきました。私も親こそ殺した事はありせんが、子や孫を殺し続けるような現在のこの生活を続けています。本当に皆で、この生活を変えていきたいと心から願っています。とても感動しました。有難うございました。  
                
― 素晴らしかったです。時間を忘れて異空間に入っていました。本当に広島の光明時様の雰囲気にとても良くマッチしていて(良い機会にめぐまれて)感激しました。本当にありがとうございました。