写真から読み取る世界の真実とは何か?鼻を切り取られたアフガン女性


鼻を切られたたアフガン女性の顔が、2010年8月号のタイム誌の表紙を飾った。これはタリバンによって切られたもので、実にショッキングな写真である。しかもタイム誌の見出しには、「もし米国がアフガンから撤退したらなにが起きるだろうか」というもの。


この写真を見れば、だれしも絶対に撤退してはならないという意見に傾くだろうが、しかしよく考えてもらいたい。湾岸戦争のとき、イラクの石油施設の破壊によって、重油まみれになった海鳥の悲惨な映像が、同じくタイム誌によって世界中に配付され多くの人々の憤激を買ったが、後になってこれは米軍機がクウェートの石油精製工場の原油タンクを誤爆したせいであることが明らかになった。


たった一枚の写真によって、世界世論は容易に変わる。これがメディア・リテラシーの現実の姿だ。イラク戦争の開戦理由にしても「果たして大量破壊兵器はあったのか?アルカイダイラク政府は、明白につながっていたのか」いずれもNOであった。


情報操作として、世界中に流された政治宣伝のマスコミ操作であった。しかしイラクに始まったこの戦争は、現実には拡大の一途をたどっており、その戦火はアフガニスタンが現在、主戦場となっている。しかも戦火は思わしくなくて、来年の7月アメリカの撤退が危ぶまれているが、こうした時期に、こうしたタリバンの蛮行とも言える写真がタイムの表紙を飾るのは、実に政治的ともいえるものだ。あなたはこの写真をどう読み解くか?


こうした状況を読み解ける力と技術(スキル)をメディア・リテラシーというが、これは幼い時から、子どもたちを学校や家庭やノンフォーマル教育で、訓練をしていく必要があろう。これは高度の判断が必要になってきた時代なのだ。


表現されていることは真が偽か、それはいかなるネットの世界でもたえずつきつけられている本質的な懐疑である。