梨花女子大で、子どもを対象にした「絵地図分析ワークショップ」

ソウルの梨花女子大学で、2日目(2010年7月4日)の絵地図分析ワークショップを終えたとき、なんでも即断するのは危険だと思いました。つまり初日目の感想は、参加者の子どもたちは、開催場所が韓国の名門の梨花女子大学であったこと、外からのビデオカメラなどにたくさん囲まれていたこと、そして子どもたちが、自分自身のことをみんなの前で発表することへの恥ずかしさなどさまざまな要因があって、みんなかなり緊張して、委縮していたようですが、二日目は、みんなものすごくオープンで積極的、要するに慣れてきたのです。

そうなると韓国の子どもは実に主体的で、活発なのです。素晴らしい創造性をもっているのです。

このワークショップでは、描いたものに点数をつけないし評価らしい評価も全くしません。ただ当事者や参加者の自由な感想の発表で、笑いに包まれた実に楽しく感動的なワークショップとなりました。やはり期待した「絵や文章や文字を使って、まるでいたずら描きのように、自分の生活や思いや生き方を自由に表現すると、いろいろのものが見えてくるようです。こうした機会って日常にも人生上でもほとんどないですからね。父娘で作成した絵地図もおもしろかったですしかし子どもたちの夢や関心の中には、北朝鮮との統一のことや哨戒艇の沈没の事件などにも幅広く触れていたのですから・・・・

しかも7−8歳の子どもから大人までがみんなの前で発表するのですから、世代を超えて人生上のスキルや体験や喜怒哀楽などがさまざまに表現されて、会場の参加者によって感動的なコミュニケーションの場が作り出されたのです。ああ、おもしろかった!!参加した子どもたちが、どんなに喜んだことか・・・・・会場は始終暖かい笑いに包まれていました。

そうですね。誰だって「自分自身の人生マップ」や「他人の人生マップ」には興味があるし、難しい状況を切り抜けようと必死でもがいていますからね。それを意識的、無意識的に描くことによって、フラストレーションからも解放されるし、いろいろの角度から自分を再発見できるー自分自身を元気にさせるーこういったたくさんの気持ちを見出した大変楽しいワークショップとなりました。^l^

おそらく新しい創造的な教育学の誕生となったようです。










言葉の力、絵の力、 デザインの力を使って、自分の居場所や生き方の地図を作り、その地図からたくましい人生をつくるには?

人は誰でも人生や社会の中で、自分自身の居場所や明瞭な地図を作ろうと試行錯誤しています。
地図があれば、今いる居場所を確かめることもでき、人生や社会の東西南北をはじめ、生きて行くべき方向が明瞭に見わたせるからです。

しかし、人はだれでも複雑な問題や悩みにも遭遇しており、これを解きほぐしながら道を見つけ出していくのは容易ではありません。そのため、この方法は、人間の心理に基いて作成していく心理地図の分析方法のやりかたです。これは長年のユネスコ(国連教育科学文化専門機関)活動、国際教育、創作活動の中から生みだされたユニークな創造教育の方法です。これまで多数の国で実践されてきました。それはそれはおもしろい方法です。

今回は、参加者は、問題に向けて、文字、言葉、文章、絵、図、地図、コラージュなど(たくさんの色彩で)表現していきます。学級崩壊で苦しむ教師や個人でもグループでも、誰でも楽しんでできる方法で、集中力と自由な創造性を要します。



3月には東京の中目黒で開催します。

とき:    2011年3月19日(土曜日)午後6時30分から10時まで
ところ:   中目黒GTプラザ会議場
講師: 田島伸二(絵地図分析研究所 (Picture Map Analysis)

1.プログラムの内容:

1.絵地図分析とはなにか?
2.なぜ絵地図分析という手法を開発したのか?
3. だれでもできる実践編 

申し込み: iclc2001@gmail.com (先着順20名)

心理地図の共同作成による創造的な絵地図分析の目的:  

a)あらゆる教育における新しい発見、アイデア、創造性を生み出し創造的な力を育む。
b)各個々人の人生や社会で直面している悩みや問題を明らかにし、具体的で実際的に解決するたくましい力を育む。
c)学校での創造的な教授法や革新的な教育方法を参加者自身で生み出す力を育む。
d)絵や文章や社会で表現されたものを分析し、それから読み取る力や技術を育む。
e)年齢、職業、関心などが異なる参加者が、共同で新しい発想や戦略を生み出す力を育む.

3.方法論:
これは3心理地図の共同作成による絵地図分析のワークョップを通じて、個人または参加者全員で行う。この方法は数名のファシリテーター(演習のための講師)によって、進行する。



4.内容:

この方法は、現実に直面している諸問題に対して、グループ討議や文章、絵表現、色彩やデザインなど記号や数値で表現できない心理を地図を作成して分析していくものです。

ワークショップの中ではそれぞれ異なった視点や見解をもつため多くの発見があります。しかし、言葉や絵で表現された絵地図には、たとえどのような拙いものであったとしても、真実の断片をどこかにのぞかせています。その真実の断片から、描かれた絵地図を詳細に分析し、隠れている個人や社会の真実全体を浮かび上がらせながら客観的に分析する方法は、個人や全参者に大きな活力や創造力をもたせることになりましょう。

絵地図分析には、ふたつの効果があります。ひとつには、人や社会の内奥にある苦悩を作品(絵地図)の中に表現することによって、精神分析に似た高揚感がもたらす自己や社会の解放です。もうひとつは、その結果生まれた絵地図を詳細に分析し、アクションのための具体策を作成することによって、その後の生活や人生にとって積極的な羅針盤となる知恵や情報が得られることです。

作業そのものは体験と想像を駆使して自分自身に問いかけながら集中して行うワークショップ形式なので、おもしろさとその刺激のある創造性に時間が経つのを忘れてしまうほどです。だれでもこれを行うと虜になってしまうでしょう。人生を豊かにするためには、自分の感情やとりまく環境を言葉により明確に理解し、そこから自己を解放する術を見つけ、実践しながら身につけなければなりません。ところが人生では、人が生きてゆく上での最も重要な技術は、学校や社会では誰も具体的には教えてはくれないのです。

いつの間にか絶壁に追い込まれている子供や大人たちを対象に、言葉と絵と地図の力を用いて、問題解決のための具体的な行動計画を自ら作成する力をつけること、また、どのように彼らを励ますのが最良であるか、それを見つけることが絵地図分析の最大の目的だと言えましょう。




人生を豊かに生きるためには、自分の感情や自分の生きる環境を、言葉や表現力により明確に把握し、そこから自己を創造して行く術を実践しながら身につけていかなければなりません。ところが、こうした人が生きてゆく上での最も重要な人生のスキルは、誰も教えてはくれないのです。しかしこれが、これからの子どもたちには、最も重要な教育になってくると思うのです。

我知らずいつの間にか絶壁に追い込まれている子どもや大人たちを対象に、言葉と絵の力を用いて、問題解決のための具体的なアクションプランを自ら作成する力をつけること、またどのように彼らを励ますのが、最良であるかを具体的に見つけることが、絵地図分析の最大の目的です。問題の在りかを隠さずに、誤魔化さずに、明確に把握することが、解決への糸口です。

絵地図分析の原型は、1970年代に田島伸二によって考案され、1980年代にアジア・太平洋地域のユネスコによる多数のワークショップの中で、参加分析法(New Partcipatory Method) としてアジアでは広く普及し、その後数々の改良が加えられ、日本では2001年から本格的に絵地図分析として、東京にある絵地図分析研究所により実践されるようになりました。

そして東京大学教育学部や全国の教員の養成あるいは国内の女子大学、韓国など海外の大学などでも効果的に使われました。東京都内の公立小学校などの協力も得て、絵地図分析による授業も数回行われました。学級崩壊の状態にあった6年生のクラスでは、絵地図分析の作業を続けるうちに、他者への関心が喚起され、その後は非常にまとまりのある授業を行えるようになりました。下記の感想文は、その小学校のクラスの生徒たちによるものです。


ぼくの絵地図ができたときに体の力がぬけてらくになった。(男子)

自分が今、思っていることを何でも絵地図に表そうといっしょうけんめいにやった。今まで味わったことのない感覚を体験した。自分を見つめて自分のいいところや悪いところがどんどん見えてくるような気がしてどんどん手がうごいた。とっても不思議な感覚で、自分でもどんなことをどんな風にかんじているのかが、よくわからなくなってきてしまった。でも自分自身のことをよくわかれるようになれた気もした。また作ってみたいと思った。こんどはもっと広いはんいのものも書いてみたいなあと思った。友達が作ったのを見て「ああ、この人はこんな人なんだ。」というのが感じられた。自分が発表するとき、みんなも「この人はこうだ。」と感じとってくれたのでとてもうれしかった。家で絵地図を見ながら深刻に考えたり笑ったりしました。楽しかったです。                        (女子)
最初やり始めた時は、なかなか自分の世界に入れなくて、やる気がなかったりしてしたけれど、やっているうちに自分の好きな事やショックな事がうかんできて、ちょっとは自分と向き合うことができました。書いているうちに、今の自分は一体なんだろうかと思いました。家に帰ってからも全体をながめていたら、自分の目標が少ない事に気がつき、これから目標をどんどん増やしていきたいと思いました。(男子)

今、自分の考えていることは全部努力すればできそうなことなので時間がどれだけかかっても自分の考えていることができるようになりたいです。(女子)

私は絵地図のワークショップをやって、あらためて自分の思っていたことがよくわかりました。例えば、私は自分の夢ややってみたいことがとても多かったのです。私は自分について絵地図をつくったのは初めてだったので、最初はどういうことを書けばいいのか、初めはわからなかったけど・・だんだんよくわかってきて、楽しくなってきたのでとてもよかったです。私はできた絵地図を家に持って帰って、家のなかで一番見やすい所においてときどき見ました。そしていろいろ考えながら見ていると楽しいことがうかんできたりしました。私はこれを書いてとてもよかったなと思いました。(女子)
自分の好きな絵地図を作っているから頭の中にどんどん島がうかびあがってきて楽しかった!いっぱい浮かんできたので多すぎて、書き入れられなかった。でも半分以上は書き入れられた。空いている所に女の子の絵を書き入れたら、絵地図がとてもカラフルになった!!その女の子のふきだしにセリフを入れたら、空いている所がほとんどなくなって楽しい絵地図になった。いろいろな島ができて、本当の絵地図になったよ。白い画用紙から・・絵地図へ。(女子)

絵地図の中のダメダメ島という所に書いてあったことがよくできるようになった。けんこう島には自分は朝、起きれないと書いたけど、じぶんで努力していたら、すっきり起きれるようになった。(男子)

自分のいやなところもいろいろあったが、自分はいろいろの夢をもっているのがよくわかった。絵地図が終わったあと、いろいろな目標ができた。やりたい目標について次は「どんなやりかたをすればできるんだろう」と考えた。(女子)




この感想文は、2005年4月に初めて韓国で行った親子を対象とした絵地図分析ワークショップの参加者感想文です。これは11組の親子で25名の参加者が2日間(実質的な時間は5時間)にわたって絵地図を制作し分析を行いました。

1.ワークショップでは、家族と一緒に絵地図を描きながら、家族が幸せになるためにはどんな努力が必要か、あらためて考えてみるいいきっかけになった。また、子供が考えている幸せは意外と小さく、しかも近いところにあるということを今更のように気がついた。来年、今回のように充実したプログラムのワークショップが開かれば、もう一度参加してみたい。

2.絵地図づくりが楽しかった。家族の考え方を知ることができても楽しい時間でした。また、「家族会議の際には、この方法をみんなで一緒にやるのがいい。」と思いました。今回は、家族間の情が厚くなり、一緒に何かできたのでよかったと思います。絵を見ながら内容を読むことも面白かったし、文章が短いのでとても読み易かったと思います。有意義なプログラムでした。これからはお互いの気持ちを分わかり合う幸せな家族にしたいです。私は幸せな家族が好きです。

3.家族と私を振り返ってみるとてもいいきっかけになりました。子供と妻の考えを理解することができいい経験になりました。でも、ワークショップの企画や時間の進行がよくなかったため、面白くなかったところもありました。


4.想像の限界がない自由な雰囲気で自分の考え方を自由に表わすことができました。私は家族と一緒に来たわけではありませんが、家族と一緒に絵地図を作るプログラムはとてもいいことだと思いました。家族が力を合わせて、自由に意見を表わすことを通じて、家族間の情が厚くなるでしょう。個人的には普段は想像力を発揮できませんが、今回のこの時間では、自由に発想ができました。また、忘れていた自分の人生の目標や幸福等を振り返ることができるようになりました。このようなテーマのワークショップだけでなく、家に帰ってからも定期的にテーマを変えては家族と一緒にやって見てもいいと思います。できたら時間がもっとあるといいですね。

5.家族と子供の将来の夢に対して、詳しく考えてみるきっかけになりました。今までは無条件に母親の意見に従うよう子どもに強要するときが多かったです。しかし、今回のこのワークショップを通じて、子供の直接参加を通じて、子供の考え方を理解することができました。このワークショップのおかげで、私は初めてナミ島に訪問し、久しぶりに家族旅行をしました。何よりも子供が何を欲しがっているのか、何を願っているのかを知るきっかけになったことが一番よかったと思います。家に帰ると、子どもの立場から子供の考えを尊重する母親になろうと努力しようと思います。今回、このようなワークショップのためにご尽力いただいた皆様に感謝します。

6.面白かった。なぜなら、絵の具で描き出す絵地図がおもしろかったから。絵地図作りを通じて子供の目標についてあらためて考えたり、その目標に向かって必要な経緯を考えるいいきっかけになりました。でも、私は絵を描くのが上手でなかったので、すこし恥ずかしかった。

7.今回、絵を描くことはとても楽しかった。私はまたナミ島に来て家族と一緒に絵を描きたい。楽しい時間でした。なぜなら、最初、友だちと一緒にやったときは自信がなかったのですが、母と父とともに一緒にやった時には自信がでてきたとおもいます。これからも、母と一緒にやると自信が強くなるとおもいます。
(でも、今後チャンスがあるのかな。)


8. これからの私の人生について改めて具体的に考え、前より目標意識を持つことができて有意義な時間でした。すこし、散漫でしだが、家族で行う作業が楽しかったです。ものすごく面白かったです。家族の、思考、希望、悩みなどを理解できたし、具体的にうまくまとめることができました。これからも様々なテーマを決めて、この方法を用いて、家族の考え方や希望などを理解する手段として活用する計画です。お疲れ様でした。

9. 経験したことがない新しい方法で、表現したことがとてもフレッシュでした。将来の問題や今の悩みなどに対して、楽しく接近して思考する合理的な方法を見つけられて、本当に嬉しい。家に帰っても、子供と一緒に一年に一度だけでもいいから、今回のように計画を立て、未来を設計したいと思います。

10.人生の生き方について、子供と一緒に考える絵地図を描いたりしてとてもよかったと思います。じっくりと考え、そして考えたことを実践するためにそれを絵で視覚化したことによって、私と子ども相互がもっと知ることができるようになりました。これからもときどき、私と子ども、そして家族全員が夢を成し遂げるために絵地図を作りたいと思います。とても有意義な時間でした。これは子供の考えや思いを引き出すとてもいい方法だと思います。これからも多様なテーマを決めて実践して行きたいものです。

11.面白かった。絵の具で絵を描くのが特に楽しかったです。また、母親と一緒にやったことがもっと楽しかった。楽しかったです。家族と一緒に生き生きした経験が出来てよかった思います。このような契機がもっともっとあってほしいですね。
でも母と父と絵地図を一緒にやったということはよかった。

12.本当にたのしかった。また、やりたい。親子が互いに考えや夢を理解し議論でき、とても有意義な時間だったと思います。ただ、絵地図分析の時間が十分がなかった点が惜しい。私の家族の今と将来、そしてそれぞれ一人一人の夢や悩みを理解することができて、嬉しかった。父親と子供が一緒に作業できる仕組みだったので、それがとてもよかったし、子供にもいい思い出になったと思う。