梨花女子大学で開催した「絵地図分析ワークショップ」の現場から
お元気ですか?こちらソウルはどんよりとした梅雨の天気が続いていましたが、今日
から晴れてきました。
2010年6月29日から現在、ソウルの梨花女子大学でワークショップをして いますが、大人や学生のワークショップは大変うまくいっても、子どもを対象としたワークショップは、なかなか大変でした。つまりうまくできないのです。期待していたような結果がきちんと出てこないのです。
これは通訳の問題もあるとは思いましたが、子どもたちとうまくコミュニケーションが
できていないこと、スタッフの大人が中に入り過ぎること、そしてワークショップの方
法論が難しすぎるのではないかということが原因のようですが・・・・要するに子ども
たちがリラックスして楽しんでいないのです。だから興味も湧かないのです。
「なぜこのようなワークショップに参加しなければいけないのか」、「ぼくはこんな
ことはやりたいくない」というような冷めた雰囲気が、子どもたちの間にみなぎっていて、
ある意味では、子どもたちは、このワークショップには大人によって、無理やり土曜日
に動員されたような感じをもっているのです。なかにはものすごくいいセンスを持って
参加している子どももいましたが、それは例外中の例外。
韓国の子どもたちは一般的に、自由な時間が全くなく、大人から管理された時間の中
に生きていると言われるのですが、子どもたちには、かなりの必然性やおもしろいこと
がないと「やる気」を出さないような姿勢と雰囲気なのです。だからある意味ではこれ
は実験とも言えるものになったので、大変だけどおもしろかったとは言えます。
しかし自由討議のときにもあるグループの子どもたちは「グループの中のみんなと会話を
したくない」というのですから・・・
まあ、絵を書き始めたらだんだん積極的になってきましたが・・・出来上がった絵は
ばらばらのような絵で、グループの絵として完成していないのです。問題解決型の、
絵地図分析という初期の目的は、うまく達成できませんでした。もっとも課題も「自分
がぶつかっている最も困難なことや問題点というものでしたから難しすぎるということ
でもあったようです。個人のグループはとてもうまくいきましたが・・・
今日も引き続いて、同じメンバーでワークショップを行いますが、やはり子どもたちは
大人と同じように、体裁(ていさい)や面子(めんつ)という意味では相当大きなものを
もっているように感じました。
昨年の中国の南京師範大学では、幼稚園ぐらいの子どもたちでも、ものすごく積極
的で、質問などどんどん大人に投げるのですが(まるで紅衛兵のように)、しかし韓
国では、みんな恥ずかしがってみんなの前で、自己紹介もきちんとできないのです。
表現するということが、ある意味では日本の子どもたちとと同じようなのです。
こうした表現力は、韓国の社会や学校などは、子どもたちに要求していないのでしょ
うね。おそらく中国では、どんどん自分から表現していかないと取り残されるという
ような競争社会が存在しているのでしょう。おそらく一番表現力がうまくできるのは、
中国、そしてその中間に日本がいるような気がします。
韓国では表現力が余りできないのはなぜか、いろいろ考えてみたいと思いました。
それは7月4日のワークショップの課題です。また主宰しているところが、デジタル・
デザイン学科なので、生きた子どもを対象とするよりも、形や外側だけを課題にする
ようなところがあるのかなと思いましたが、性急な判断は禁物なので、
今日はゆっくりと子どもの視点からやってみようと思います。それは同時に、絵地図
ワークショップを(10歳から12歳を対象とした場合には)もっと子ども向けに、わかり
やすくておもしろい内容にしなければいけないということです。
子どもたちは、熾烈な現代や、変化の時代を生きているようです。
とにかくいろいろと学んでいます。