KONKICHI−さびしい狐-日中韓の3カ国の「楽劇」が共同公演される。

日本・中国・韓国の3カ国共演「楽劇」 平成20年度文化庁芸術祭参加作品ー渋谷セルリアン能楽堂&越谷能楽堂 
KONKICHI−さびしい狐

http://www.youtube.com/watch?v=80rJ4Rp3RIs

原作:田島伸二
芸術監督(作曲):劉宏軍
脚本・演出;東龍男
監修:三隅 治雄
振付:ラッキィ池田

コンキチ:大藏基誠(能楽師狂言方大藏流)
社長:中村京蔵(歌舞伎俳優)
人事部長:ラッキィ池田
チャモチャモ:寇然(京劇俳優)
コンキチの母;ヤンチェン(歌手)
鹿の母:左威
カヤグム:金オル
森の動物たち:
彩木エリ  足立夏海 宇田川裕之 安達雄二 藤田可奈

天平楽府平成組 打楽器/伊勢 友一 尺八/三橋 貴風、水川 寿也  笙/銭 騰浩  打楽器/はたけやま 裕  鼓/藤舎 花帆●民俗工房  カヤグム/金 オル

アートディレクター:三隅 雄亮
面師:渡辺 雄司



人間に変身したキツネを通じて自然に対する人間のあり方を問う寓話(ぐうわ)「コンキチ」(田島伸二原作)の楽劇「KONKICHI」が、2008年、渋谷セルリアンタワーホテル能楽堂(10月28日)、と越谷市の日本文化伝承の館「こしがや能楽堂」(10月17日)で上演された。音楽は、劉宏軍による日本・中国・韓国3カ国の伝統楽器で編成された楽団の生演奏。

「コンキチ」は、呪文を使って人間に変身したキツネが毛皮会社の社員となり、やがて銃を手に故郷の森に入っていく姿を通し、動物と人間の共生の大切さを描いた作品で、アジア各国では、中国、韓国、インドなど17カ国で翻訳出版され、2001年には第1回ベルリン文学祭で上演された作品。
舞台では狂言や歌舞伎に加え、中国の京劇や韓国の面も登場し、音楽は、日・中・韓の伝統楽器で編成されたオーケストラ「天平楽府(てんぴょうがくふ)」劉宏軍(芸術監督)が担当した。
主催:日本・アジア芸術協会

田島伸二原作の「孤独なコンキチ」は、現代を生きる人間や社会を痛烈に風刺しながらも、愛について、自然について、人間のありかたについて、ユーモアをもって語りかけながら「人の生き方」について痛切に考えさせられる寓話。読者は、主人公である狐(キツネ)の「コンキチ」の滑稽でもあり悲しくもある姿に、あるときは自らの姿を重ねあわせ、ある時は現代世界を見つめさせられます。本として読み継がれるのみならず、ドイツのベルリンでは第1回国際文学祭でドイツの著名な俳優によって上演され、パキスタンでは国立劇団での舞台化、また日本では宮沢賢治の語りで有名な林洋子氏が、劉宏軍氏と語りと音楽、インドのパジパイ氏は、米国の音楽家ホフマン氏と舞踏の形で上演して大きな感動を呼び起こした。

 今回の劉宏軍の「楽劇」という新しい試みは、日本・中国・韓国の芸術家が共同で「コンキチ」の演劇を通じてより広く人々の心に、21世紀を救う感動的な物語を手渡そうと企画したもの。日本の狂言伝統芸能や中国古代の音楽を駆使して、自然と人間の内面に深くきりこみながら生命の躍動感を得て、勇気を奮い起こさせる歴史的な舞台となった。

 日本・中国・韓国の第一線で活躍する音楽家狂言師舞踊家、歌手、俳優、舞台制作者による共同作業の舞台を通じて、日本のみならず世界の広い年齢層の観客に対して「コンキチ」という個性を表現しながら、自然、現代文明、人間の心の旅を始めていくことが呼びかけられ、大胆な試みは大きな成功をもたらした。