講演会と舞踏の夕べーインドのダリット女性の教育と民俗芸能−自由と解放を求めて

シスターチャンドラの講演会と舞踊公演のおしらせ。
「インドのダリット女性の教育と民俗芸能−自由と解放を求めて」
 シスターチャンドラの講演会と舞踏の夕べ

日時:   11月17日(月)
       午後6時半開演 
場所:   東京虎ノ門 海洋船舶ビル10階
       東京都港区虎ノ門1-15-16海洋船舶ビル. TEL.03-3502- 2231
入場料:  1500円

主催:   国際識字文化センター
連絡先:  iclc2001@gmail.com
       taeko-k@mse.biglobe.ne.jp 担当黒川 

普遍的な人間の価値をダリットの人々にみるシスターチャンドラ
南インドの踊るシスターが「社会貢献賞」の受賞で初来日

画像
インドにはタップーと呼ばれる、死を知らせるための太鼓がある。長い歴史を持つこの太鼓は、不可触民とされたダリットと呼ばれる人たちの、苦しみと痛みが深く刻まれた太鼓だ。この太鼓を女性が手にし、女性自身を解放するための新たな武器として、新しい命を与え、同時にその響きによって、沈黙させられてきた女性たちに言葉と勇気を与えるものにかえたのが、南インドミルナードゥ州のディンディガルの地で、1993年以来15年以上にわたって社会の底辺の人々につくしてきたシスターチャンドラである。彼女が今年2008年社会貢献賞を、社会貢献支援財団から受賞することになったのを機に、来日することとなった。

シスターチャンドラは忍耐と愛と笑いと芸術をもって、若い女性たちが自分の足でたち、他の人をも導くことができるようなリーダーとなるべく、その養成を行ってきた。不可触民といわれたダリットの女性リーダーを養成するシャクティセンター集会室の、ある日の黒板にはこのような文章が、かきだされていた。


ここにみなが集おう。

歴史は変えられる。

内なる力を感じよう。

シャクティ(力)をもって、歩みを進めよう。

目覚めよ。

共に集おう。

おそれるな。


社会の隅におしやられた少女たちが、シスターチャンドラがつくったシャクティセンターにつどい、内なる力を鍛えられ、差別に屈しない心を育てている。彼女たちは自分のおかれた状況や周囲の環境を学び知り、同時に様々な技術を習って、自分の村や近隣の村の人々をたすける人材になる。

画像

シスターチャンドラはこのように、250人以上の少女たちをつつみこみ、大きな励ましをあたえ、人々に不正とたたかう勇気を与えてきた、指導者である。そのシスターチャンドラが少女たちの教育に、そして社会へのアピールの方法として注目したのが、先人の喜びや苦しみを伝えてくれる、人々の民俗芸能である。シスターチャンドラは、そのインタビューの中で、次のように語っている。

「少女たちを将来のリーダーとして養成していくなかで、気がついたことは、踊りや歌が、彼女達を育てるために、とても大きな役割をはたすということでした。どの村にもその村でさかんな歌やおどりがあったのですが、それらは徐々に消え去っていこうともしています。私たちがとりくんだもっとも重要な芸能は、タッパアッタム(あるいはパライアッタム)という太鼓舞踊です。またいろいろな歌にも、自分たちが伝えたい内容を歌詞としてもりこみました。

いろいろな歌をうたうことで、少女たちも重要な人間の価値観を自然にできたのです。例えば民俗舞踊の多くは、円となっておどります。円には深い意味がありますが、連帯や一つの力となるといったような意味をあらわします。ですからこうしたおどりをおどるだけで、私たちはともに手をとり、連帯していくのだ、私たちはひとつなのだという気持ちを、民俗舞踊を人々の前で演じることによって、与えることができます。つまり差別や階級、そして貧富の差などをこえて、人間は平等であることを、民俗舞踊は自然にしめしているのです。

ダリットは社会的な差別を多くうけますが、中でも女性はさらにひどい差別をうけることがままあります。ですから、私たちはこうしたダリットの女性の解放のために力をつくすことにきめたのです。死を象徴し穢れているとされた太鼓を、女性がもち舞踊として演奏すること事態が、革命的なことですし、劇のように女性のおかれた悲惨な現状を演じてみせることで、人々に社会の不正義から目をそむけずに、これをしっかりみつめるようにさせたいのです。

シャクティのメンバーの中にはヒンドゥ教徒、イスラム教徒、キリスト教徒などがいます。今の世界は、宗教のちがいから紛争がありますが、それらをこえて、あらゆる人にとどくのはおどりや歌といった民俗芸能の力です。芸術はもっとも人間的のものともいえるでしょう。

ダリットの人たちがから習ったことですが、もっているものをわかちあたえることが、ダリットの人々には深いところから息づいています。自分の家には何もたべものがなくても、それでもお客さんを招きいれてくれようとします。もし自分の家にお客さんがきているのに自分の家に食べ物がなければ、あいているとなりの家の台所に自由に出入りして、いつでも食べ物を自由にもっていっていいのです。その家の人はあとでまた料理すればいいと、ダリットの人々はこれを行っているのです。こうした普遍的な価値を私はダリットの人たちから教えられており、これこそ私が人々に伝えなくてはいけない価値観です。」

画像

画像
                      シスターチャンドラ