赤えんぴつ&青えんぴつ  (南アジア共同出版から)

赤えんぴつ&青えんぴつ   

これはインドとパキスタンカシミールを題材にして、南アジア地域で13年かかって共同編集・出版したICLCの4冊の「平和絵本」の中の1冊です。この絵本は、パキスタン側の参加者が構想を書き、インド側の参加者が絵を描きました。

「赤えんぴつと青えんぴつ」

「文房具のお店で、赤えんぴつと青えんぴつが、それぞれ自分の将来のことを夢見ていました。「二人は、どんな人生を生きるんだろうね!でも二人とも、人生では思い切り働いて短くなって人生を終えるときには、再会して人生を語り合おうね」と約束しました。

それから赤えんぴつは兵隊さん、青えんぴつは先生に買われていきました。兵隊さんに買われた赤えんぴつは、次の日から、いつも人を殺すことや作戦ばかりを描き出していきました。大地は赤く染まっていきました。一方、先生に買われた青えんぴつは、人生に困ったこどもやおとなたちをいつも励ましては、たくさん言葉を生み出していきました。そして二人とも短くなって人生を終えて、焼却場に捨てられたとき、偶然出会ったのです。

「あっ!赤えんぴつさん、どうだった?あなたの人生?」「・・・・うううん。私が兵隊さんの人生で夢中で書き出していたのは、いつも戦(いくさ)のことばかり、人を殺すことでに夢中だった。どこもかしこも赤一色に染まって・・とても悲しい人生だった」
「青鉛筆さん、あなたははどうだった?あなたの人生も悲しかった?」「・・わたしはね。いつも喜びの言葉を書きだしていたよ。そして人生はいつも幸せに包まれていた。いつも暖かい言葉で、こどもやおとなたちを励ましていたからね・・・・」

赤えんぴつが言いました。
「最初は、同じ姿でも、「人生ではどんな言葉を紡ぎ出すかで、人生は全く違ってくるんだね。・・・・」

「ほんとうにそうだね。わたしもそう思う」青えんぴつも答えました。