狂った人間文明がもたらすもの
現代という時代は、悲劇的というより悲劇そのものだ。まだ全体の幕が、一部しか上がっていないので、舞台の上はよく見えず、いったい何が行われているのか、だれが演じているのか、よく見えないが、果たしてそうか?
21世紀に入って12年、今までの舞台の片りんを見れば、本格的な21世紀の舞台で、これからどのような芝居が始まるのかは、だれにも容易にわかるというもの。しかし世の中には、見えても見えず、聞こえても聞こえずということがある。まさにそれだ。9.11の芝居といい、3.11の原発事故といい人間社会では、狂ったものどもが狂った文明を作り出している。おのれの狂った欲望のために・・・・
狂っていない人間たちは、どれだけ早くから原発の危険性を声をからして叫んできたことか・・・・狂った人間たちに声は届いていなかった。汚染地域はまだ20キロ範囲という、汚染地域はまだまだ30キロ範囲だという。こうした程度でしか、放射能汚染のことを考えていない人々は、狂人たちの作った原発の本当の怖ろしさをなにも知らない。
これから本格的に始まるのは20キロ30キロとか、200キロとか300キロとかの汚染どころでもない。2000キロから20000キロというようなおよそ想像もできない地域に放射能汚染は、大気や海流を通じて広がり、やがて地球をすっぽりて包み込んでしまうような放射能汚染がこの地球上に始まっていくかもしれない。中国でも、インドでも福島原発からなにも学ぶことなしに、それぞれ100基もの原発を日夜建設しているからだ。
「100万年も閉じ込めておけば、もとのウランの毒性ぐらいには減ってくれるだろうからと、そんな議論は科学のなすべきことではない。もともと絶対にやってはいけないことなのだ」と京大の小出裕章は原発から作り出される放射性廃棄物について述べている。その通り。社会には一般の人々の想像力ではとてもできない怖ろしい発明がお金のために次々と秘密裏に作られてきている現実がある。
原爆も原発もその一例。科学者たちが、近代科学という名のもとで生みだしてきた数々の発明は、人間の幸せや豊かさを生みだすものではなく、自然や人間を滅ぼし、悲しみと恐怖の中に生きざるを得ない環境を作り出している。それが現代の学問であるならば、学問の発達とは、人間性の進歩にはなんの関係もない。現代の学問は全くの虚妄であることにすぐに気づく。
かってジョン・レノンは「社会はすべて、狂人によって動かされている。気違いじみた目的を実現するために。僕は16歳とか、12歳とか、ずっと幼い時に気づいた。でも、自分の人生を通じて、このことを違った方法で表現してきた。僕が表現しているものは、いつも同じことだった。でも、今は、言葉にして示そう。僕たちは、偏執狂者たちによって、偏執狂者の目的を成就するために支配されている」と。
この偏執狂とはいったいだれのことだろう。それをきちんと特定しない限り21世紀の舞台を見ることはできない。21世紀の舞台では、観客席はないから、だれが演者でだれが観客かは全くわからない。シェークスピアの時代とは違うのだ。
ひとりひとりが動かない以上、狂人の演技を止めさせるわけにはいかないのだ。