ミャンマーの夜明けは、カチン州のダムの凍結から始まる!

数年前、ミャンマーのカチン州にあるイラワジ川を遡ったことがある。友人は上流の美しい水域を案内してくれ、そこはカチンの人々にとっては、聖地とも呼ばれている重要な場所だと話した。しかし友人が言うには、軍事政権は、ここにダム建設を強行しようとして、多数の人々を強制的に移住させていると憤慨していた。その地は山の中の川原にある美しい水源であった。

その地が、中国が建設していた水力発電用のダムだったのだが、中国は欧米から批判されたミャンマーの軍事政権と手を組んで、そこで作られた電力などをほとんどすべてを中国に送るという契約であり、カチン州などの金や銅などの鉱山開発、ベンガル湾のチャオピューなどの天然ガス・石油開発、チーク材などの森林伐採など広範にミャンマーに乗り出していた。

そこには住民を全く無視したかっての軍事政権のやり方を強硬に押し通そうとして、国内から激しい反発が湧きあがってきた。一部の人間だけが膨大な利益を貪る仕組みであったのだ。それはアフリカや太平洋地域でも同じように起きていることであるが、ミャンマーは特に雲南省の続きであり、中国にとってはまるで属国扱いのように権益を吸い取られていたのである。

こうしたことはミャンマーでは誰でも知っていることである。行ってみたまえ!マンダレーなどの大都市の土地や住居の多数は中国の膨大な資本によって次々と買われており、それに対する怨嗟の声が国中に満ち満ちていることを・・・・中国の人々は深く認識しなければならない。自国だけの発展を望む経済開発は、必ずや大きな破綻となって現れてくる。その兆候がミャンマーから始まっているのである。

ミャンマーの軍事政権のやりかたを冷静に考えてみると、背後からいつも中国によって、操り人形化しており、前のタンシュエ議長を頂点とする軍事政権の幹部たちは、常に中国の意向を受けながら国内の民主化運動の大弾圧を繰り返していた。20年前の民主化運動、4年前の僧侶たちの抗議運動にしても、その弾圧のやりかたや内容は、天安門で学生たちを弾圧した手法と全く同じであった。つまりそのミャンマーは、こうした路線を指導されていたのだ。おびただしい数の僧侶が、虐殺されたことを人々は、決して許さないだろう。これはミャンマー人の軍部だけの発想で起きるものでは断じてない。

不幸なことに、アウンサン・スーチー氏の努力にも拘わらず、こうした路線が長く続いてきたが、しかし昨年の国政選挙をへて発足した新政権の新大統領は議会への声明で「国民は美しい自然が失われることを心配している」と世論への配慮を強調し、「私の政権中は開発を中止する」と宣言したのである。これは国内へのアウンサン・スーチー氏の民主化運動などに対する配慮と同時に、中国に対する警戒感が政権の中にも非常に高まっていることの表れである。ミャンマーの人々は、もはや我慢の緒を切っているのである。その流れは止まらない。、ミャンマーの開発は中国に一辺倒になるのではなく、日本や欧米も広範に加えた陣営で、民主的な体制の中で考えていこうとしているのは、非常に賢明な方向である。

新政権は、軍事政権が弾圧した政治犯2000名を一刻も早く獄から釈放すべきである。そして民主化に向けて、スーチー氏を交えた新体制を整えていくことが急務である。そのためには日本は、こうした努力を経済や教育の分野から後押しすると同時に、中国のダム開発の中止を国際的にも呼びかけて支援していく必要がある。これは難航が予想される。かって民主的な首相などが登場したこともあるが、激しい権力闘争で失脚したことも記憶に新しい。

しかし目覚めは国民は必ず立ちあがる!

テイン・セイン大統領の民主化への動きを支援する体制を一刻も早く整えよ。ミャンマーの春はダムの凍結から始まる!