文科省が行おうとする放射能教育の本音と課題

なんとも不思議で奇怪なことです。科学立国の日本では小学校、中学校、高校での放射能教育は、30年もの間全く行われていなかったのです。なぜでしょう?これを管轄していたのはもちろん文科省ですが、文科省が産経省の強力な指示の下に、日本の「原発安全神話」を強固に作り出していたのが実態なのです。ですから放射能教育などを行うことはできなかったのです。

日本は、広島や長崎の原爆で被爆した国であるにもかかわらず、そしてチェルノブイリ原発事故や東海原発事故などが頻発して起きたにもかかわらず、なぜ放射能教育をせずに、子どもたちの目隠しを行ってきたのか、こうしたさまざまな要因によって、今日、日本の悲劇の誕生となっているのです。

まだ想像力のない方には、これからの日本の方向性は見えてこないと思いますが、10年先、20年先の日本人の健康は重大な危機にさらされるのは確実です。こうしたことにきちんと対応するためには、正しく放射能についての知識を学んでおかなければなりませんが、そうした環境が果たして今の日本に可能か、大きな懐疑をもっているのです。

今回、文科省が、現場の教師の要請に応えて、放射能教育の副読本として企画しているのは、(1) 放射能に関する20ページ程度の小冊子(2)放射能の基礎的知識(3)(小・中・高を対象に3種類を4万部ぐらいを発行するというものです。しかし今回、文科省が意図している編集方針や内容をそのままに信ずることはできません。おそらく彼らは、一の具体的な描写や事実などを捨象して、単純な自然放射能と安全についてまるで他人事のように触れるのが関の山でしょう。それはほとんど役にたちません。放射能がなぜ怖いかの、どのような影響を与えるか、どのように放射能汚染を防ぐか、放射能廃棄物の処理についてなどには一切触れないからです。そしてベクレルやミリベクレル、マイクロベクレルといった放射能用語に、詳しく触れたとしても、現実の放射能を出し続ける原発についてはなにも描写をしないでしょう。

間違いだらけの文科省による放射能情報 
http://www.scribd.com/doc/55927997/file-1285



文科省は、日本において、どのような悲惨な放射能災害が、今後子どもたちの身のうえに起きてくるのか、事実を確かめようともせず、チェルノブイリや福島の原発事故に触れることもなく、客観的だという基礎的な知識だけを羅列することは目が見えています。こうした副読本を国民は、拒絶すべきです。本当に役にたつ副読本こそが求められているのですから。目隠しをしてきた文科省が、どうやって今子どもたちへ正しい知識を伝えられるでしょうか?これはおそらく不可能ですが、可能にするためには御用学者を一切登用させないことです。

また「大震災に学ぶお薦め100冊」は大変役にたつでしょう。そして文科省の副読本を座して待つのではなく、それぞれ自ら副読本を作り出していくことが求められます。それには次の本が役立つでしょう。中でも私が大きな影響を受けたのは

放射能はなぜこわい―生命科学の視点からー柳澤圭子」 の本が最も適切に放射能について記しているように思います。自らを防衛せずして、子どもたちの安全は絶対に守れません!