原発設置と歴史からの教訓ー日本の未来について

今回の地震の被害はまだ定まっていないが、これはおそらく歴史上最も甚大なものになるであろう。言葉にもならない悲しみである。多くの家族などの命とともに真新しい家々が無数に流されていくの見るにつけ、張り裂けられるような深い悲しみを感じる。災害にあった人々に、心から深く哀悼の意を表する。


2011年3月12日、午前11時45分現在、福島原子力発電所の第一第二の発電所の冷却装置が全く作動しなくなっている。このままの非常事態が推移すると、炉心の融解が始まってくることが予想される。それが意味するのは、原発事故の中でも最悪のケースとなることで、現在、政府が発した半径10キロに住む住人の退避どころか、半径200−300キロの住人も退避しなければならなくなってくるのではないかと思われる。そして、その土地は半永久的に使用できなくなる。そこには無論、東京という大都市も含まれている。

そして午後3時頃には炉心熔融が始まったと報道されている。放射性物質が放出されているそうである。

なぜ大地震発生時に起きるであろう大津波を予想した原発設置を考えておかなかったのか?今回の大地震が発生したとき、1時間以内に海岸線の10キロ内に住む人々を全部、強制的に避難させたら多くの人命を救うことができたかもしれない。テレビでみたとき、津波の到着の予想時刻が、驚くことに時間あとに設定されていたのは大きな問題である。すぐに30分以内に避難することをなぜ告知できなったのか?

また原発が設置されている海岸線には、なんの防護壁もなかったのはなぜか。明治時代にも、この地域では巨大な津波が襲来して、2万人の人々が亡くなっていることを教訓にするなら、原発施設には、高くて厚い防護壁を作ることは、当然のことであった。

1896年6月15日 明治三陸地震 が発生し M 8.2〜8.5、死者・行方不明者2万1,959人(日本最大の津波被害)を出しているのである。
この教訓は、原発の設計においてはどのように役立てられたのであろうか?
福島の原発は、他の市や町が津波で壊滅したように激しい波によって粉微塵に破壊された。結局、原発の電気系統は粉みじんに破壊されて、4−5基の炉心の冷却が全くできなくなった今、どうやってこの非常事態を乗り切るのであろうか?


政府は全力を投球してこれに対処するのはもちろんであるが、日本という地震の多い国土では、細心の上にも細心の対策を立てていなかったら、日本の未来はありえない。日本人が、この危機を最大限の力を出して、乗り切っていくことを祈っている。






相次ぐ原発緊急事態、想定外と見通しの甘さ
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地震速報

 福島第一原子力発電所、第二発電所で相次いで出された原子力緊急事態宣言は、日本の原発防災の巨大地震に対する見通しの甘さを露呈させた。東電によると、建屋の震度など実際の揺れのデータをまだ評価していないものの、今回の地震マグニチュード8・8は同発電所の想定(最大マグニチュード7・9)を上回る規模だった。緊急時に水を注入して炉心を冷やす緊急炉心冷却装置(ECCS)が電源も含めて停止。くみ上げた冷却水(海水)を回すポンプも止まった。このため、原子炉の冷却が不十分になり、格納容器内の圧力が上昇、容器が崩壊する危機が高まった。


 ポンプ停止の原因は、福島第一の場合、1〜6号機の非常用ディーゼル発電機計13機がすべて、地震約1時間後に故障停止したことだった。想定では、地震が起きても各機が非常用発電機を融通しあって復旧するとしていたが、全滅した。福島第二では、被害状況が確認できない、として海水を通すポンプなどが止まったまま。さらに福島第二では、放射線監視装置も3台のうち2台が停止している。このため監視装置を積んだ車などを動かして放射線監視に当たっている。東電は電源を確保して原子炉の温度を下げるため、保有する発電機車51台を現地に集め、発電の準備を進めている。(2011年3月12日10時37分 読売新聞)





福島第一原発1号機、蒸気放出 放射性物質漏出の可能性
2011年3月12日11時2分 (朝日コム)

地震で原子炉内の冷却水の水位が低下していた東京電力福島第一原子力発電所1号機と、第二原発の1〜4号機について、東京電力は12日、原子炉を覆っている「格納容器」の弁を同日午前9時半までに開けた、と発表した。これにより、放射性物質を含んだ「1次冷却水」が蒸気に含まれて炉外に漏れる可能性がある。

 原子力安全・保安院によると、手動による格納容器内の蒸気放出は国内で初めて。2号機については格納容器と弁との間に板が挟んであり、内部の圧力が高まると自然に蒸気が外に漏れる。

 第一原発では弁を開ける前から、正門付近の放射線量が通常の20倍を記録。1号機では原発を運転する「中央制御室」での放射線レベルも上昇しているという。政府はすでに、第一原発の10キロ以内、第二原発の3キロ以内に住む人たちに対して、避難を指示している。避難対象は第一が5万1207人、第二が8049人。
 東電によると、1号機の格納容器の中は通常、400キロパスカル(約4気圧)で運転されているが、地震による影響で格納容器が壊れる可能性がある800キロパスカルを超えたため、弁を開け、格納容器内の圧力を下げる必要が生じた。

 外部に出る蒸気には、燃料棒に直接触れる1次冷却水を含んでいると見られる。蒸気内にどれだけ放射性物質が入っているかは不明だが、核燃料や放射性物質を閉じこめる格納容器が壊れると、甚大な被害が生じる恐れがあり、弁の開放を決めた。