「大亀ガウディの海」の予告  2009.9.19

東亜日報の書評より

日本の田島伸二氏が著した 「大亀ガウディの海)」(韓国・精神世界社刊)を読みおえると、我等は文明の発達に絶え間なく驚嘆し、それが与える便利な生活方式を葛藤なしに受入れてきたわけだが、もうこれまで満足し得てきた幸福をこれ以上享受することはできないことがわかる。もちろん世界の一部で既に宇宙の摂理を自覚し、人間は宇宙においてそのごくごく一部であるとの認識が芽生えていることも事実ではあるが、それをこのように鮮明で単純な話として描くことができるというのが、驚くべきことといえる。

 30年間水族館に住んだ大亀ガウディがもどった海は、その間に既に生存を圧迫されるほどに汚染されていた。かろうじて探し出した場所が、南太平洋のスーリヤ海、そのスーリヤ海で人間が核実験をすることを知り、ガウディは召命のごとく、自身の体を投じて核実験用の電線を切断する。十五夜の月光をたっぷりと浴びた美しい南太平洋の波の中に、ガウディの子亀達がガウディが黄泉の世界に旅立ったスーリヤ海に向かう場面では、胸が感動で濡れるのを憶える。
 サン・テグジュペリの「星の王子さま」が、人間の心性にむけて幸福の定義を具現する童話であるならば、大亀ガウデイの海(ガウディエパダ)は、宇宙の摂理の中で我々が一緒に存在しえる時に到達する事ができる人の真実を反芻させる大人の童話である。

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9979986832


次回予告

2009年12月15日 
午後6時30分より

目黒GTプラザホールにて
古屋和子の語り
「大亀ガウディの海」

問い合わせ: iclc2001@gmail.com