すべての観客が涙を流したインドのダリット女性の舞踊とはー美しくかくも激しいリズムになぜ泣いたのか?

それにしても信じられないことが起きた。まるで信じられない。現代の奇跡。2008年11月17日の夜の虎の門での公演の時。ICLCの主催したインドのダリット(不可蝕賤民と呼ばれる最下層の人々)の女性舞踊団がインドからシスターシャクティに率いられてやって来て、2週間余りにわたって東京などで公演を行ったが、それはどこでも大きな感動を巻き起こした。

それはタップーと呼ばれる死の太鼓の激しいリズムと踊りであったが、見ている観衆はなぜかいつも涙を流した。どの公演でもそうだった。それは哀れみや憐憫からくるのか?いやそうではない。憐れみでは決してなかった。ではその踊りの美しさから来るのか、いやそれも違うようだ。とにかくなにかが起きるのだ。みんななぜ涙を流すのか?とにかく芸術というものが人を激しく揺り動かすということを知った夜であった。

舞踊を見ているうちに自然に涙が頬を伝わってくるというのは・・・・・すごいことだ。

現代の日本の薄っぺらの芸術と比較にならない。テレビ文化には決してない。インドの何千年もの時代の中を生き抜いてきたインドの芸術が21世紀に蘇ったのだ。抑圧されてきた先住民族のドラビダ文化があざやかに現代に蘇って、人間の痛ましい現実に魂と叫びののろしを上げたのだ。その感動に人々は涙を流した。まるで奇跡のように。それが東京で起きた。

人はなぜ差別や区別を作っているのか?それは現代も無数に続いていること。あらゆる形を変えて・・・・

アメリカで黒人の大統領が生まれたように、なにかが起きつつあるこの世界だ。こうした芸術が生まれて
いることは、人間にも考えられないほどの可能性や希望もあるということを教えてくれた舞踊でもあった。
明日に希望を持とう!
人生は限りなく美しい・・・・・・・・・・・