迎春ー2014年・2015年の私の指針とアクションについて

2014年の昨年はさまざまなことがありました。ちょうど1年前の1月は、インドのIBBY国際児童図書評議会)が開催した国際児童文学セミナーに招待されて参加・講演しましたが、そこで私は、特に識字+文学を統合した「Literary Literacy」リテラリー・リテラシー」という概念を初めて発表してみました。それは識字教育の中に、文学的要素をいかにとり入れるかという「文学的識字」という概念です。文字の読み書きの出来ない人々は、ややもすれば「非識字者」とか「未識字者」の烙印を押されて馬鹿にされている現実がありますが、識字教育を、文学を含めたあるいは文字を超えた口承伝承や表現活動などと豊かに一体化させていくことが極めて重要だと思っているのですが、どうでしょうか?

またこのセミナーの席上で、インドで以前12言語で翻訳出版された「さばくのきょうりゅう」の物語を、インドの教科書に載せるようにとの強い主張があったのを聞き、とても光栄に思いました。これは、さばくを行く隊商が、売り上げをめぐって争い、ついにはみんなで殺しあっていく物語ですが、その様子を、砂漠の砂のなかで眠っていた一匹のきょうりゅうがじっと見つめて嘆くーという今日的な物語です。

同じく11月には、マレーシアのクアラルンプールでの文学祭に招待され、講演のあとにすぐ、インドのデリーで、インド国立美術院の主催によるA.ラマチャンドランの美術回顧展に出席しましたが、この展覧会からは実に大きな刺激と感動を受けました。5000点の作品の中から選び抜かれた珠玉の作品ばかりで、彼の努力には、言葉もありませんでした。その作品は:http://www.artoframachandran.com/

また昨年は、友人たちと4月と9月、二度にわたって福島県富岡町飯館村へ、放射能汚染と除染調査にでかけることができました。4月の福島は、全山が桜の花というような桃源郷の風景を見て、言葉にならない大きな感動を得ましたが、そのそばでは巨大な穴に放射能除染土を次々と埋設している風景もいたるところで見ました。また9月には開通したばかりの国道5号線を通って、南相馬市まででかけたのですが、その地点は、第一福島原発からわずか1.5キロメートルしか離れていない国道でしたので、車内での放射線線量は、なんと5.5マイクロシーベルト。これは東京目黒の100倍に相当します。そして首相官邸前や国会前には度々参集して、原発再稼働に向けての抗議も行いました。

11月インドからの帰国後の12月1日から3日まで、目黒区立小学校でのこどもたちの絵地図分析ワークショプ(わたしの人生マップ)を開催しました。絵地図分析という手法は、20年前から行っている心理分析ですが、実に感動的な成果がでました。これからなにか重要なことが始まる予感がしています。それはさいたまで行なわれたキャリア・デザインのカウンセラーを中心とした絵地図分析ワークショップでも感じたことでした。また12月10日は、15名の会員で、第2回絵地図分析研究会を開催.。http://pma2014.exblog.jp/22745139/ 現在、とてもおもしろく広がっています。日本から、長年の夢の新しい教育活動が始まりそうです。

今年は、1月から聖心女子大学での絵地図ワークショップの開催、翌日からカンボジアのシエムリアップで、シャンティのコミュ二ティ・ラーニングセンターでの人材研修が始まります。アジア地域では、これまで見たこともないような画期的な6館での農村図書館活動が始まります。また2月中旬からは、ミャンマーヤンゴンで絵本作家の研修も始まりますが、これまで夢見てきた作家や創造者を育てることを具体的に実現させていきたいですね。とても難しいことですが・・・・

またこれも長年夢見てきた「田舎の女教師」を主人公にした映画製作を始めたいと思っています。それは日本の「二十四の瞳」のように美しく深刻な時代を映し出すもので、私の長年のミャンマー体験からくるものです。そして作品は、ミャンマーから、インド・中国・日本・欧米へと輸出したいですね。新しい教師像をミャンマーの地から生み出していきたいのです。唯一の問題は、資金難です。どなたか資金協力者はいませんか。今までに見たこともないような歴史的な「先生」映画が生まれるのですが・・・。

そして3月はインドのデリーで、印パ共同による、河川環境改善のための共同絵地図ワークショップの開催や文学アカデミーから英語とヒンディ語で「大亀ガウディの海」3冊の刊行。アカデミー招待によるセミナー講演などが続いています。また4月以降は、今年も聖学院大学での講義が続きますが、今年度は、これまでの仕事を心理学科の学生たちに「より本質的に、より楽しく、より深く」さまざまなメッセージで伝えらるれように、ビデオなどの視聴覚資材も多用して講義したいです。楽しみです。先日、昨年度に聴講した女子学生から、お礼メールと、現在彼女が絵地図を使って奮闘している成果を詳しく送ってくれました。

今執筆している寓話は、「魚の国」、「雲の夢想録」、「人間動物園」、「砂漠の雲」、「ヒューマン・リテラシ」の哲学と展開、小説「しんちゃん」など10篇です。政治的な風刺を含んだものが多いのですが、もっとおもしろく厳しく優しい寓話を書きたいものですー昨年はパキスタンで、英語版とウルドゥー語版4冊が刊行されましたが、今年は、インド、台湾、スリランカ、イランなどからの刊行を予定しています。

皆さま、2015年もどうぞよろしくお願いします。

心からの感謝で!