閑古鳥(かんこどり)

上野東照宮の閑古鳥(かんこどり)の故事による透かし彫り

「昔、中国の皇帝が、朝廷の門前に太鼓を置き、天子の政道に誤りがある時は人民にそれを打たせてその訴えを聞こうとしたが、政治に誤りが無く、打つことが無かった為、鶏が太鼓に住みつくほどであったと言う故事から由来している」そうです。徳川の世が天下泰平であるように願いを込めて彫られたのではと考えられているそうですが、「政治に誤りがなく、太鼓を打つことがなかった」という治世は、およそありえないことです。おそらく太鼓の設置は形式的なもので、皇帝の面目のために行ったものの、実質的には官僚たちによって、人々が太鼓を打たないようにあらゆる妨害工作を行っていたのでしょう。あるいはもし太鼓が鳴ったとしても、皇帝の耳には全く聞こえていなかったか、あるいは聞こえてもその音を無視したというのが実体だったのでしょうね。いつの時代も今と同じで太鼓は鳴り響いていますからね。