世界保健機関(WHO)による福島住民の原発ヒバク線量についてのデータは信じられない!?

福島第一原発事故による国内外の外部、内部被曝(ひばく)線量の推計について、世界保健機関(WHO)が、全身の被曝線量について、5月24日、新聞を通じて発表があった。

それによると、「原発に近い福島県浪江町の住民は10〜50ミリ、それ以外の福島県は1〜10ミリ、千葉県や茨城県などの近隣5県は0.1〜10ミリ、東京都、大阪府など他の国内地域は0.1〜1ミリシーベルトだった。がんの死亡リスクが高まるとされる100ミリシーベルト以上の全身被曝が想定された地区はなかった。甲状腺被曝は最高が浪江町の乳児で100〜200ミリシーベルト甲状腺がんが多発したチェルノブイリ原発事故による避難民の平均490ミリシーベルトは下回った」という。

これは果たして信じられる数字であろうか?


1987年に起きたチェルノブイリ原発事故の調査について、IAEA国際原子力機関)の事実発表には大きな疑いがかけられているのは有名な話だ。IAEAとは、もともと核の拡散を防ぐ目的で設立されているもので、原発に関しては平和利用を積極的に推進する機関として機能している。そして重要なことは、IAEAとWHO(世界保健機構)は、あらゆる調査結果を共有するという協定を結んでいるという。つまりどちらかが発表する時には、そのデーターはどちらもが認めないと発表できないという摩訶不思議な協定を結んでいるのだ。


ジャネット・ジェルマン博士が、インタビューに応えて、
IAEA(国際原子力機関」が発表したチェルノブイリフォーラムという調査書、350の論文に基づき英文で公開されている資料でしたが、ヤブロコフ博士とネステレンコ博士たちは5000以上の論文を基にしています。それは英文の論文に限りません。また実際に現場にいた人達の声を基にしています。現場にいたのは医師 科学者 獣医 保健師など、地域の人々の病状を見ていた人たちです」

「この本によりますと 世界保健機構(WHO)でさえ、チェルノブイリの真実を語っていないと批判していますね。WHOはIAEAと協定を結んでおり、発表することができないとのことですが、それについて説明していただけますか?

「1959年に結ばれた協定は それ以来変わっていません。一方がもう一方の承諾を得ることなしに、調査書を発表することを禁じています。 WHOはIAEAの許可なしには調査書を発表できないのです。 IAEAは世界中の原子力の規制だけではなく、 原子力の促進を行う機関でもありますからね。当然 WHOに「原子力は健康に有害だ」と言われては困るわけです」


このようなことが果たして許されるのであろうか?WHOとは、「人類の健康を預かっている国際機関」であり、IAEAとは、原発を推進している国際機関なのである。利害の相反する機関が、ヒバクの実態をどうやって共有することができるというのか?絶対に共有できない立場でありながら、原子力の平和利用という名目で原発行政を進めているから世界は悲劇的な状況に立たされているのである。こうした悪魔の契約を行っている二つの国際機関については、世界中から多くの疑問が発せられ、ヨーロッパを中心に多くの批判的な運動が継続的に行われている。つまりこうした協定は破棄しなければいけないということだ。


なぜWHOがこうした契約をIAEAと結んでいるのか?これが国際機関と言う21世紀の魔物の存在である。その結果、旧ソ連のチャルノブイリで起きた原発事故による死者などの調査報告にも大きな疑いがかけられていたことからも周知の事実。今回の福島の原発事故についても、WHOによる全国的なヒバク調査のデータ―が果たして信じられるのかどうか、私は本質的に大きな疑いを持っている。そしてとうてい信じられるものではないと思っている。

国際機関とは、本来、国境を越えて人類の福祉や進歩のために公平な事実や実態を調査しなければならないが、現在の国際機関は、国益の上にどっかりと腰をおろし、国連を始めユネスコなども特に原発に関しては、「原子力の平和利用」という点で一致している。それは原発大国の利害と重なっている。そのため原発事故などは過小評価して発表するのが現実の姿で、1987年のチャルノブイリ原発事故のときから今日までの25年間に、WHOは、死者総数は4000人と報告しているが、欧州放射能センターなどはこれを鋭く批判している。また昨年の3.11の1週間前に発表された報告書では100万人が亡くなっている事実が報告されている。http://iclc2008.iza.ne.jp/blog/entry/2656659/

これだけの発表の差とはいったいなんだろうか?

世界の原発にとって、福島の原発の実態は、これからの方向性に取って決定的な方向性を与えるだけに、今回のヒバク実態については、IAEAなどや日本政府などと綿密な打ち合わせを行った上で発表したものだろうが、それだけに頭から単純に信じるわけにはいかない。お上とは日本政府だけではない。国際機関そのものもお上なのである。

残念なことだが、ヒバクの事実や実態は、この報告の10倍ぐらいだと考えておくのが真実であろう。つまり想像を絶するぐらい非常に深刻な実態であるということだ。


しかし、先に述べた理由でこれを全部10倍で計算すると:

浪江町の住民:                      100−500ミリ
それ以外の福島県民は:                 10ー100ミリ
東京や大阪などの他の国内地域は:            1ー10ミリ
浪江町の乳児:                 1000−2000ミリシーベルト
 

となる。SPEEDYも使わなかった文科省の責任は重大である。特に浪江町の住人や乳児の健康が危ない。これが実態に近い数字だろうと思う。WHOは人類を助けるために機能しているとは思えない。

御用学者ではない専門家諸氏の検証を願う!!